野菜ジュースは健康に効果が無いって本当?
野菜ジュースは栄養が無いとよく聞きますね。
私もそう思っていた内の一人です。
なぜ効果が無いと言われてしまうのか、理由と根拠はあるのか、それは納得できるものなのでしょうか。
そもそも野菜は食べるものなのに、それをわざわざジュースにするくらいだから栄養が無い訳ではないハズです。どこか良い点があるかもしれません。
今回は専門的な単語が出てきたり、数字が出てきてややこしいとは思いますが、具体的に説明していきます。
効果が無いと言われる理由4つ
特に多かった意見を集めました。
その意見について私個人の意見とちょっとした豆知識を紹介します。
1,生野菜程の栄養がとれない
まず「野菜程の栄養がとれない」とありますが、これはもちろん当然のことです。
生の野菜には勝てませんからね。
野菜ジュースのパッケージなどによく「1日分の野菜が~」とありますが、これを鵜呑みにして野菜ジュースに頼り切るのは良くないです。
1日に野菜350gを食べることを厚生労働省や日本栄養士会が推奨していますね。
野菜ジュースを飲むことで確かに「量」は確保できていても「質」の確保は難しいのです。
この「野菜を1日350g摂る」ということについて少し説明をしましょう。
実はこの350gの中は
- 緑黄色野菜120~160g。
- その他の野菜240~280g
という配分があることをご存知でしょうか?
そしてこの「緑黄色野菜」ですが、もちろんこれにも決まりがあります。
「可食部100gカロテン含量が600㎍以上のもの」とあるのです。
いきなりカロテンがどうとか、含有量の話をされても中々ピンときませんよね。
緑黄色野菜とは、ニンジンやカボチャ、ブロッコリーやホウレン草など文字通り「色」がある野菜たちのこと。
例外があり、ピーマン、トマトはカロテンが600㎍もありませんが、緑黄色野菜のグループに入っています。
しかしこの配分を守って野菜を使っているか?というと正確なことはわかりません。
メーカーのサイトで確認する必要があります。
2,ビタミンCなどの水溶性ビタミン・酵素・不溶性食物繊維の破壊
恐らく「効果がないと思う理由は何ですか?」と質問して大体の人がこの答えになると思います。私も10年ほど前になりますが、栄養学の授業でこう言われたことは今でも覚えています。
確かに10年以上前はこれで正解だったかもしれませんね。
ただ野菜ジュースにはこの破壊された栄養素だけしかないという訳ではありません。
他にどんな栄養素があるのかは後半部分で説明します。
3,食品添加物を使っているから
「どうせ食品添加物だらけなんでしょう?」
という意見もありますね。
確かに野菜ジュースのビタミンCは野菜由来ではなく、後から添加しているものがほとんどだと思います。
食品添加物と聞くと警戒してしまいますが、食品添加物が無いと、ゼリーやプリンはザラザラとした食感、パンやクッキーの焼き菓子は膨らまないし、ボソボソになる。肉や魚だけではなく、ほとんどの加工食品は日持ちしなくなります。
私たちにとって切り離すことが出来ないものでもあります。
少し難しい話になってしまいますが、
食品添加物が使用可能になるまでの流れを少し説明します。
まず規格を決めます。そして動物を使った毒性試験を繰り返し、ADI(一日許容摂取量)を設定します。
このADI(一日許容摂取量)とは、「ヒトが一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康に影響を及ぼさないと判断できる1日当たりの摂取量」をいいます。
このADI、初めて耳にする方もいると思います。ニュアンスとしては「ここまでは悪影響が無い。これを超えたら悪影響になる。」というよりも、「いくら何でもこの程度なら問題はないのではないか」という表現に近いです。
このADIを設定した後、ADIを越さない基準値を決め、安全性の確保が出来たら更に食品安全委員会によって審査・評価を受ける。という長い工程を経てやっと使用許可が出るのです。
しかしヒトで実験することはできないため、事故などによる偶然発生してしまったデータなどがある物質を除き、ヒトについてこの種の値が完全に安全であるとは言えないというのが現状です。
4,濃縮還元だから
「濃縮還元だから栄養が無い。」これも良く聞きますね。
確かに利益を最優先にしていたり、異様に安いものや海外製品などは警戒する必要があるかもしれません。
メーカーによっては通常のものと変わらない栄養効果があることをホームページに載せている所もあります。一概に濃縮還元のもの全てがダメという訳でもないのです。
野菜ジュースだけで済まそうとしたり、薬の代わりか何かと思うから「栄養がない」「効果が無い」「意味がない」とかの意見が出てくるのだと思います。
栄養を摂りたいのならまず1日3食バランスのとれた食事をとることから始めてください。
しかしただバランス良く食べろと言われてもピンときませんよね。
それを解決するには「食事バランスガイド」を参考にするか、栄養士・管理栄養士に相談してみると良いですよ。
インターネットでも質問受け付けてくれるサイトもありますし、そういったサイトを個人で開いて仕事にしてる人もいるし、個人に向けて栄養サポートをしてくれるサービスもあるし、講演会でも何でもやっていますから情報の確保はそんなに難しくはないと思います。
つまり、健康に効果があるのか無いのか、真相はどうなの?
野菜ジュースはまったく栄養が無いという訳ではありません。
確かに野菜ジュースにすることで減ってしまう栄養素もありますが、逆にジュースにすることで効率よく摂れる栄養素もあります。
1,脂溶性ビタミン、ミネラルの補給
ビタミンA、E、K、鉄分、カリウム、マグネシウムなどは残存します。
βカロテンは野菜ジュースにしても変わりません。なんとジュースにすることで吸収率が1.5倍アップするのです。
同様にリコピンもジュースにすることで吸収率は約4倍にまで跳ね上がります。
炭酸飲料や一般のジュース飲むよりか体には良いですね。
2,水溶性食物繊維は摂れる
水溶性食物繊維とは
- 血中コレステロール値を下げる
胆汁酸やコレステロールを吸着し、排泄します。
- 食後の血糖値の急上昇を抑える
粘着性があるので胃から腸内へとゆっくり移動していきます。
体内に留まる時間が長いので、空腹になりにくく、食べすぎを防いでくれます。
糖質の吸収をゆるやかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑えます。
- 腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える
大腸内で水溶性食物繊維が発酵・分解することで、ビフィズス菌など増え腸内環境が整います。
3,食物繊維を摂れるスムージータイプも発売
これは野菜を完全に液状にせず、あらごしにすることで食物繊維を残しているタイプです。
食感も楽しめます。しかし価格とカロリーが高いので、継続が難しいのがデメリットとも言えます。
より健康的に活用するために
効果を発揮させるには普段の食事とうまく組み合わせる
例えば貧血気味の人なら鉄分強化の野菜ジュースを選ぶ
その時に鉄分の吸収を妨げるタンニン(コーヒー・紅茶・緑茶・ワイン・ピールやくるみ・ブルーベリー・はちみつ・チョコレートなど)と一緒に摂取しない。
良質なタンパク質(鶏レバー・アサリ・シジミ・めざしなど)を食事に取り入れる。
摂取するなら食事中、食後30分から1時間は空けたほうが良いでしょう。
生活習慣病の予防・改善・肥満予防・美肌効果・目の健康維持にリコピンを含んでいる野菜ジュースを選ぶ
オリーブオイルにはリコピンの吸収促進効果があります
普段食事で使うサラダ油をオリーブオイルに変えたり、オリーブオイルを使ったドレッシングを作ったり、使ってみるのも良いです。
2,飲む時間帯・タイミングも大事
- ダイエットの補助に使うなら朝や食前に飲んでみましょう。
- おやつとしても
15時は1日の中で最も太りにくい時間帯と言われています。
仕事をしていて丁度小腹が空いたり、集中が切れる時間帯になるので、おやつとして飲んでみるのも良いかもしれません。
- 22時以降は避ける
野菜や果物が色々入っていて、ジュースにしてあると、物にもよりますがやはりそれなりにカロリーもあります。特にスムージータイプの方がカロリーは高めですから、夜遅くに飲む事をあまりお勧めはしません。
まとめ
- 生野菜と同等の栄養の確保は難しい
- 野菜ジュースにすることで破壊されてしまう栄養素もある
- 反対に残る栄養素・吸収しやすくなる栄養素もある
- 用途別に野菜ジュースを飲み分ける
- 普段の食事と組み合わせることによってより効率よく吸収できる
野菜ジュースは薬とは違います。いくら「〇〇が豊富」「〇〇強化」「これ1本で大丈夫」だと書いてあっても飲んだからと言って絶対に改善されることは約束されていません。
繰り返しになりま
今週のお題「修学旅行の思い出」
すが、あくまで食事のサポート的な存在であるという事を忘れないでください。
健康的な生活を送るためには普段の食事・運動・休養が何よりも大事です。
その手助けをしてくれる手段の一つの内が野菜ジュースであるという事を忘れず、上手に活用していけると良いですね。